【bisen-OBを訪ねて】第5回・西村昌実さん
月に一度、多方面で活躍されているbisen-OBを訪ねる企画・第5弾。
今月は、プロのイラストレーターで、北海道イラストレーターズクラブα会員でもある
今月は、プロのイラストレーターで、北海道イラストレーターズクラブα会員でもある
14期の西村昌実さんをご紹介いたします。

l 仕事内容

広告印刷物、新聞、雑誌などに使われるイラストの作成と建築パースをメインに、
その他さまざまな媒体へのイラストレーションを作成しています。

イラストは全て手描き。
スキャナーでデータ化するときだけパソコンを使っています。
l 卒業後の経歴
札幌市内のデザイン会社(全員で7人程)に就職。
初めて作って頂いた名刺の肩書きは「イラストレーター&デザイナー」でした。
最初からその方向へ向けて育ててくださった社長に感謝。
約5年後、退社してあてもなく東京へ。

若かったんですねえ。どこかのデザイン事務所に潜り込むつもりでしたが、
在京する美専時代の友人、デザイナー時代の先輩や知人よりイラストのお仕事を頂き、就職しないままズルズルとフリーでイラストを。
そんな皆様に再び感謝。
スクウェア(現スクウェア・エニックス)の人気RPGゲームソフト「Final Fantasy」シリーズのSDキャラクターイラストも手がけています。
―以下リンク:ファイナルファンタジーポータルサイトより
FFⅤパッケージ
FFⅣパッケージ
ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエストパッケージ
東京時代にたまたま仕事が回ってきました。
当時は100体以上のキャラクターを、エアブラシを使って描きました。
今なら間違いなくパソコンでコピーですよね。
今も中古ソフトとして売られているのを見ると嬉しいです。
東京はさすがに仕事が多かったですし、しっかりやれば仕事が仕事を呼んでくれる…これもつまり、紹介してくれる方がいらっしゃった、ということですね。三たび感謝。
東京には5年居ましたが、30歳の時、北海道へUターン。
仕事は申し分なかったのですが、人の多さや道の狭さ、移動距離の長さや交通渋滞には辟易しまして…。
最初からそこしか知らなかったなら居られそうですが、札幌に住み慣れた身には暮らしづらいんです。
子どもも生まれて、その感ますます強く、1992年、札幌市西区へ移転しました。
そんなこんなで、そのままイラストレーターとして、今日までフリーランス26年目です。
l 仕事で大切にしていること

オリジナル「ウサギと雪だるま」
- まずは相手との潤滑なコミュニケーション。何度もお会いしていれば「何を望んでいるか」が大体わかりますが、初めての方とは真意を掘り出す上で、ささいな言葉も留意しなければなりませんし、気を使います。

北海道ふるさと切手「流氷の天使 クリオネ」
- 次に、時間厳守。社会人としては当然ですが、若いうちから身についているといいですよねえ。学校の課題も「絶対に間に合わせる」姿勢で。間に合わないと信用を失うんですから。

ヤマメ フィギュア-3
- あと、相手の『想像を上回る仕事』を心がけています。「ここまでやるか!」というくらい驚かせたい。…これはなかなか、そう成功しませんが。
- そして、作画上は「人の手を感じさせる」こと。ぬくもり、暖かさ、のような。パソコンによるイラストの対角線、対抗軸。ヘタさ、とも言えるんですかね?
l 今後のVision
でも、不況で仕事が減り、時間はできつつありますから、とりかかるチャンス。
一時期、フィギュア制作もやっていましたが、間をあけて改めて今見てみると、甘さや荒さが…。
また新たな気持ちでやってみたい。


肖像画にも興味があります。親戚や知人から頼まれて描いたりしていましたが、本当に喜んでもらえる。
役に立ったのかなあと実感できます。お金にはあまりならないのが難点ですが。
版画もおもしろそうなんですけど…ちょっとお手軽ではないので、本気になった時に。
l 学生、後輩に向けてのメッセージ

「人づき合いの達人になろう」
自分の意見を伝える力、聞き取る力は鍛えなきゃ育たないようです。
そしてその距離感、思いやり、相手の立場に立つことなどの視点も。
生きてく上でも基本的な部分ですが、コミュニケーション力は本当に大事。
いろいろな場に身をおいて鍛えてほしい。
アルバイトは、実はすごく役に立つのでお薦め。
学生時代の2年間に、私もビール園の調理助手、寿司店の出前、スーパーで夜間のレジ打ちなどやりました。
力量が同じくらいなら、話がスムーズに進む人や話をしていて気持ちのいい人を選ぶのは当たり前。
いろいろな人と会話するだけでも得るものは多し。
で、知り合た人を大事にしましょうよ。それも財産です。
「たくさんの失敗や回り道もOK」
いきなりの成功は一時的にはいいんですが、いつかは壁にぶつかります。
数々の失敗は自分でも気づかぬうちにしっかりした土台となっているようで、
壁に向けて階段を着実に作っているようなもの。
目標へ遠回りすることも同様で、武器や鎧を身につけていける。
「人生ムダはない」というのは本当だなと思います。
「時間は作るもの」
「時間がなくって…」というのを言い訳にしない。
いやまぁ、ホントに厳しい場合もありますが、その時は
「今回はできない」「今回は無理」と断るか、「ここまでしかできないが」と。
何かを得るには何かを失う、という犠牲があるもの。
いよいよになれば、食事時間・睡眠時間、削るものはいろいろあります。
どこかから捻り出すんですよ、時間は。やりくりを上手にしてほしい。
もちろん、遊ぶ時は思いきり遊ぶ。
「元から才能って…ないと思っています」
友人のデザイナーにこう問いかけたら、「いや、あるよ。」と一蹴。
意見は分かれるところですが、私は「才能」は最初からあるものではないだろうと思っています。
自分でも気づかず、蓄積されているものだろうと。
「センスがあるね」という言葉はその一端が露呈したものだろうと。
いろいろなものを見て、聞いて、触って、感じたもの、好きなもの、嫌いなもの、その中からの選択、そして手を動かしてきたかどうかによる技術的な進捗部分、それらが「才能」と呼ばれるんじゃないの?
なら、その気になれば今からでもそれは手に入る!
やるんですよ。
「自分には才能がない…」と思うのは勘違い。
こうなりたい!と思うなら先へ進む。
…私は仕事でリアルなイラストを描いています。たいていの人は「こんなの描けない」と言いますが、
…描けるんですよ、あなたにも必ず。
数カ月~数年の時間はかかりますが…。
l 座右の銘

「頼まれ事は試され事。」
特にないんですが、数年前、新聞で読んで心に残ったものを。
クロフネカンパニー社長の中村さんという方の言葉。
誰かにものを頼まれたなら、それは自分が試されていることでもあり、それに対して期待される以上のことをやれ、と。
心に響きました。
そうだよね、考えてみると試されているんですね。私はちゃんと応えてきたんでしょうか…。
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西村昌実さんホームページ:
http://www.ac.auone-net.jp/~cockpit/
西村昌実さん所属団体:
北海道イラストレーターズクラブα→ http://airacafe.com/illust_a/

