【bisen-OBを訪ねて】第12回・上田隆之さん
シリーズ「OBを訪ねて」第12回は、19期グラフィック科卒業の
陶芸器作家・上田隆之さんをご紹介いたします。
(後半には上田さんの出展イベント情報もあります。)
l 仕事内容
日常の器を作る陶芸家、器作家。
日常の生活に寄り添う道具としての器を作っている。
上田さんの工房。所狭しと陶器が並べられています。
焼き上げる前(上)と後(下)での器の比較。焼き上げると一回りほど小さくなります。
l 卒業後の経歴
「話せば長いよ~」という上田さん。
卒業後すぐは、道東の阿寒で観光写真の仕事に就き、釧路湿原や丹頂鶴、アイヌの民族衣装を着た観光客などを撮った。
そこで蓄えたお金で1年半に渡り、バックパッカーでヨーロッパをあちこち放浪。
他にもアフリカ、モロッコ、サハラ砂漠など・・まるで流浪の民のごとく渡り歩いた。
その間も、パリのラボでモノクロ写真の現像の仕事をしたり、路上で折り鶴を折って売ったりもした。
帰国後は、自称芸術家としていろいろやりつつ(この辺はかなり端折っていますが)、bisenでグラフィックデザイン全般の講師も6、7年勤めた。
陶芸を独学で始めたのは、30才くらい。
昔から古い物が好きで、韓国の李王朝時代の白い茶碗に魅せられたことがあり、嘘や偽りの無い姿、シンプルさに心惹かれていた。
その気持ちが心の奥に残っていたことと、表現の一つの手段として陶芸をやってみようかな?という気持ちが重なり、山奥で窯を始めた。
陶芸作品を発表するまでに、さらに6、7年。
2004年に初めて、陶芸の個展を開催。これが思いの外、評判が良かった!!
だが、そこから陶芸の道はしんどかった。
当時を振り返り、「今思えば、幼稚な作品だった。」と本人は語る。
発表から約10年経った現在、年1、2回のペースで個展開催。東京にも進出。
他、道内各地のイベントにも多数参加している。
毎年7月には、江別駅周辺で開催する「江別やきもの市」(「第24回江別やきもの市」の記事はこちら。)、9月には、札幌駅前通地下歩行空間(通称:チカホ)、旭川で出展、取材の直前には函館で出展・・と、お忙しい中で取材を受けてくださいました。
l 仕事で大切にしていること
「やっぱり、器は道具だから、誰かに使ってもらって、その人の何かを気持ちよくさせたり、楽しくさせたりしたい。僕の作った器が―たとえそれが湯飲み1個でも―その人の生活に入り込むことは、すごいことだと思う。」
「それから、原料の土は道内のものを使用したり、といったこだわりはあります。近年ではあまりにもデコラティブな器が多いから、すっーと余分な物をそぎ落としてシンプルに。それこそ、李王朝時代の陶器のような、偽りのない器を作りたい。」
「器はどこまでいっても器だけど、器と人には、まだいろんなつながりを秘めていると感じます。今はその関係性を探しているというか…すごく抽象的だけど。」
上田さんがこだわる土を見せていただきました!
原料の粘土は、道内のいたる所(江別市や石狩市厚田区など)の土をご自身で掘っていらっしゃるそうです!
石狩市厚田区で採れた粘土。陶器をつくる際は、様々な粘土をブレンドさせるそうです。
その土を干して、粉にして、ふるいに掛けて精製して保存。
上薬も木の灰から作るとのこと!この灰の中にガラス成分も含まれているそうです。
そんな気の遠くなるような地道な作業を経て、形になる器。
「新しい土との出会いにワクワクする♪」と語る上田さん。
「物を作ることは発見すること。」
貝殻は小皿の作製にピッタリ♪だとか、割り箸を輪ゴムで組んでスケール代わりに使ったり…工夫がいっぱい!
l 今後のVision
「かっこよく言えば、少しでも器を広めていきたい。
そのためには、がんばっていいものを作る。」
l 学生、後輩に向けてのメッセージ
好きなことがあったら続けること。それは一番簡単そうで、難しいこと。
最初は真っ暗闇で、何も見えない中でもがくけど、それでも続けるうちに1点の光が見えてくる。
辞めることは簡単。とにかく続けること。
続けることで良くも悪くも答えは出る。答えが出たら、そこからまたがんばればいい。
l 座右の銘
最後は恒例、直筆のお言葉を頂戴します!
「はら8分目」
食べることじゃなくて、気持ちがいっぱいいっぱいにならずに、ゆとりを持つということ。
人間、心にゆとりを持ってないとダメ。
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9月18日(水)~19日(木)、「北から暮らしの工芸祭 手しごと収穫祭inチカホ」に作家の一人として参加出展します。
期 間■2013年9月18日(水)~2013年9月19日(木)
場 所■札幌駅前通地下歩行空間(通称:チカホ) ドオリHIROBA東
開催時間■11:00~18:30
アクセス■大通駅13・14番出入口そば
大きな地図で見る
くわしくは、Kitakaraホームページ→ http://www.kitakara.org/content.php?id=9447
9月28日(土)~29日(日)は、「17th 旭川陶芸フェスティバル」に出展参加。
期 間■2013年9月28日(土)~2013年9月29日(日)
場 所■旭川地場産業振興センター(旭川市神楽4条6丁目1-12)
開催時間■9月28日(土)・・・10:00~17:00、9月29日(日)・・・10:00~16:00
アクセス■旭川駅前から所要時間8分
大きな地図で見る
ぜひ足を運んでみてください。
お手にとってご覧いただけますし、ご本人ともお話できるチャンスです♪
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窯所在地
隆香窯
北海道小樽市春香町59-2
取材記事 菅原25期
写真
構成 齊藤33期
陶芸器作家・上田隆之さんをご紹介いたします。
(後半には上田さんの出展イベント情報もあります。)
l 仕事内容
日常の器を作る陶芸家、器作家。
日常の生活に寄り添う道具としての器を作っている。
上田さんの工房。所狭しと陶器が並べられています。
焼き上げる前(上)と後(下)での器の比較。焼き上げると一回りほど小さくなります。
l 卒業後の経歴
「話せば長いよ~」という上田さん。
卒業後すぐは、道東の阿寒で観光写真の仕事に就き、釧路湿原や丹頂鶴、アイヌの民族衣装を着た観光客などを撮った。
そこで蓄えたお金で1年半に渡り、バックパッカーでヨーロッパをあちこち放浪。
他にもアフリカ、モロッコ、サハラ砂漠など・・まるで流浪の民のごとく渡り歩いた。
その間も、パリのラボでモノクロ写真の現像の仕事をしたり、路上で折り鶴を折って売ったりもした。
帰国後は、自称芸術家としていろいろやりつつ(この辺はかなり端折っていますが)、bisenでグラフィックデザイン全般の講師も6、7年勤めた。
陶芸を独学で始めたのは、30才くらい。
昔から古い物が好きで、韓国の李王朝時代の白い茶碗に魅せられたことがあり、嘘や偽りの無い姿、シンプルさに心惹かれていた。
その気持ちが心の奥に残っていたことと、表現の一つの手段として陶芸をやってみようかな?という気持ちが重なり、山奥で窯を始めた。
陶芸作品を発表するまでに、さらに6、7年。
2004年に初めて、陶芸の個展を開催。これが思いの外、評判が良かった!!
だが、そこから陶芸の道はしんどかった。
当時を振り返り、「今思えば、幼稚な作品だった。」と本人は語る。
発表から約10年経った現在、年1、2回のペースで個展開催。東京にも進出。
他、道内各地のイベントにも多数参加している。
毎年7月には、江別駅周辺で開催する「江別やきもの市」(「第24回江別やきもの市」の記事はこちら。)、9月には、札幌駅前通地下歩行空間(通称:チカホ)、旭川で出展、取材の直前には函館で出展・・と、お忙しい中で取材を受けてくださいました。
l 仕事で大切にしていること
「やっぱり、器は道具だから、誰かに使ってもらって、その人の何かを気持ちよくさせたり、楽しくさせたりしたい。僕の作った器が―たとえそれが湯飲み1個でも―その人の生活に入り込むことは、すごいことだと思う。」
「それから、原料の土は道内のものを使用したり、といったこだわりはあります。近年ではあまりにもデコラティブな器が多いから、すっーと余分な物をそぎ落としてシンプルに。それこそ、李王朝時代の陶器のような、偽りのない器を作りたい。」
「器はどこまでいっても器だけど、器と人には、まだいろんなつながりを秘めていると感じます。今はその関係性を探しているというか…すごく抽象的だけど。」
上田さんがこだわる土を見せていただきました!
原料の粘土は、道内のいたる所(江別市や石狩市厚田区など)の土をご自身で掘っていらっしゃるそうです!
石狩市厚田区で採れた粘土。陶器をつくる際は、様々な粘土をブレンドさせるそうです。
その土を干して、粉にして、ふるいに掛けて精製して保存。
上薬も木の灰から作るとのこと!この灰の中にガラス成分も含まれているそうです。
そんな気の遠くなるような地道な作業を経て、形になる器。
「新しい土との出会いにワクワクする♪」と語る上田さん。
「物を作ることは発見すること。」
貝殻は小皿の作製にピッタリ♪だとか、割り箸を輪ゴムで組んでスケール代わりに使ったり…工夫がいっぱい!
l 今後のVision
「かっこよく言えば、少しでも器を広めていきたい。
そのためには、がんばっていいものを作る。」
l 学生、後輩に向けてのメッセージ
好きなことがあったら続けること。それは一番簡単そうで、難しいこと。
最初は真っ暗闇で、何も見えない中でもがくけど、それでも続けるうちに1点の光が見えてくる。
辞めることは簡単。とにかく続けること。
続けることで良くも悪くも答えは出る。答えが出たら、そこからまたがんばればいい。
l 座右の銘
最後は恒例、直筆のお言葉を頂戴します!
「はら8分目」
食べることじゃなくて、気持ちがいっぱいいっぱいにならずに、ゆとりを持つということ。
人間、心にゆとりを持ってないとダメ。
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*上田さんからのお知らせ*
9月18日(水)~19日(木)、「北から暮らしの工芸祭 手しごと収穫祭inチカホ」に作家の一人として参加出展します。
期 間■2013年9月18日(水)~2013年9月19日(木)
場 所■札幌駅前通地下歩行空間(通称:チカホ) ドオリHIROBA東
開催時間■11:00~18:30
アクセス■大通駅13・14番出入口そば
大きな地図で見る
くわしくは、Kitakaraホームページ→ http://www.kitakara.org/content.php?id=9447
9月28日(土)~29日(日)は、「17th 旭川陶芸フェスティバル」に出展参加。
期 間■2013年9月28日(土)~2013年9月29日(日)
場 所■旭川地場産業振興センター(旭川市神楽4条6丁目1-12)
開催時間■9月28日(土)・・・10:00~17:00、9月29日(日)・・・10:00~16:00
アクセス■旭川駅前から所要時間8分
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ぜひ足を運んでみてください。
お手にとってご覧いただけますし、ご本人ともお話できるチャンスです♪
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隆香窯
北海道小樽市春香町59-2


