[bisen-OB ガンちゃんのアート探訪]山里稔 「北海道 木彫り熊の考察」展
bisen-OB会会員「ガンちゃん」による不定期コラムコーナーです。

「ガンちゃん」
猪股岩生 ~ グラフィック専攻の9期卒業生。画家/造形デザイナー。
屋外造形物、建築、景観の造形プランナーをはじめ、ホームページ制作、CI構築代行と幅広く活動。また、北海道の自然をテーマにした風景画を描き続けている。
絵画工房gan-gan 代表。
bisen1期卒業・造形作家の山里稔さんの「北海道 木彫り熊の考察」展 を鑑賞してきました。

「ガンちゃん」
猪股岩生 ~ グラフィック専攻の9期卒業生。画家/造形デザイナー。
屋外造形物、建築、景観の造形プランナーをはじめ、ホームページ制作、CI構築代行と幅広く活動。また、北海道の自然をテーマにした風景画を描き続けている。
絵画工房gan-gan 代表。
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展覧会名:山里稔と木彫り熊展
会場:テンポラリースペース(札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き)
会期:2014年11月18日(火)~30日(日)
会期:2014年11月18日(火)~30日(日)
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bisen1期卒業・造形作家の山里稔さんの「北海道 木彫り熊の考察」展 を鑑賞してきました。
私自身、室蘭で生まれ子供の頃登別に引っ越して、木彫り熊が身近かにあった懐かしさと思い入れもあり、楽しみだ。
この展覧会は山里さんが4年前から本格的に作品収集した300点近い作品の中からセレクトした数十点が展示されている。
山里さんは子供の頃、土産物屋の店頭で一刀彫の熊が彫り上げられるのも見て感動した経験をお持ちで、最近は作り手も減り、家庭でも処分される事が多くなった木彫り熊の優れた工芸品としての価値を再評価する為にこの展示を企画され、同時にその集大成として「北海道 木彫り熊の考察」(かりん舎)として一冊の本として纏められ出版されている。
入口には小熊ほどもある木彫り熊が大きな口を開け迎えてくれる。廻りを一周してみる。
そのボリューム感、リアリティーに驚かされる。
そして、これほど大きな木材を使っていて年月が経っているにも関わらず、ひび割れが全くなく素晴らしい保存状態にも驚く。
会場には様々な手法で彫られた作品が所狭しと展示されている。
毛並みの彫り方、顔の表情、ポーズなど、どれも異なり見飽きない。色味も木肌のままの無着色、焼き磨き、木炭、靴墨も使われていた作品もあった様で、目入れもガラス玉や猟銃の鉛の弾丸を使用したりと時代や地域、作家により違うと言い奥が深い。
木彫り熊の発祥は古く、尾張徳川家の旧藩士らが開拓した渡島管内八雲町だと言う。同家19代当主の徳川善親(よしちか)氏が大正期、スイスを旅した際、木彫り熊などの民芸品を発見し、貧しい開拓農家の副収入にと持ち帰ったのがその起源。
以前、北海道近代美術館での「徳川美術館展」に木彫り熊の「音楽隊」 など小品が展示されていた事を思い出し納得する。
棚に展示された小品群。
これらを創り出した先人の力量に魅入る。温泉地などの土産物の印象が強い木彫り熊だが、丁寧に仕上げられた一品、一品に個性があり、決してコピーされて大量生産されたものとは違う味わいがある。
鮭をくわえた、お馴染みの作品。
うっすらと茶色味がかった黒光りした肌合いが美しく、懐かしくもある。
子供の頃、登別温泉街のお土産屋さんの店頭の棚の上に大小様々の鮭をくわえた木彫り熊がぎっしりと並んでいて、そっとその一つの背中を撫でると意外とつるつるで気持ちの良かった事を思い出す。
置物ばかりではなく壁掛けも・・・・
一見粗い彫りに見える作品だが、彫りの変化、生き生きとした表現が造形としての魅力に溢れている。
こちらは繊細な彫り目で仕上げられた熊の親子。構成力が見事。
小熊を優しく包み込む表現は母熊の愛情が伝わって来る。
多くの熊の表情は穏やかで神々しくすら感じる作品も多い。
それは厳しい自然に生きる野生動物に対しての作者の畏敬の念の表れかも知れない。
先人の見事な手仕事とその造形力、羆や多くの野生動物を育んで来た北海道の自然の豊かさと尊さを改めて感じる事が出来た展示でした。
この展覧会は山里さんが4年前から本格的に作品収集した300点近い作品の中からセレクトした数十点が展示されている。
山里さんは子供の頃、土産物屋の店頭で一刀彫の熊が彫り上げられるのも見て感動した経験をお持ちで、最近は作り手も減り、家庭でも処分される事が多くなった木彫り熊の優れた工芸品としての価値を再評価する為にこの展示を企画され、同時にその集大成として「北海道 木彫り熊の考察」(かりん舎)として一冊の本として纏められ出版されている。
入口には小熊ほどもある木彫り熊が大きな口を開け迎えてくれる。廻りを一周してみる。
そのボリューム感、リアリティーに驚かされる。
そして、これほど大きな木材を使っていて年月が経っているにも関わらず、ひび割れが全くなく素晴らしい保存状態にも驚く。
会場には様々な手法で彫られた作品が所狭しと展示されている。
毛並みの彫り方、顔の表情、ポーズなど、どれも異なり見飽きない。色味も木肌のままの無着色、焼き磨き、木炭、靴墨も使われていた作品もあった様で、目入れもガラス玉や猟銃の鉛の弾丸を使用したりと時代や地域、作家により違うと言い奥が深い。
木彫り熊の発祥は古く、尾張徳川家の旧藩士らが開拓した渡島管内八雲町だと言う。同家19代当主の徳川善親(よしちか)氏が大正期、スイスを旅した際、木彫り熊などの民芸品を発見し、貧しい開拓農家の副収入にと持ち帰ったのがその起源。
以前、北海道近代美術館での「徳川美術館展」に木彫り熊の「音楽隊」 など小品が展示されていた事を思い出し納得する。
棚に展示された小品群。
これらを創り出した先人の力量に魅入る。温泉地などの土産物の印象が強い木彫り熊だが、丁寧に仕上げられた一品、一品に個性があり、決してコピーされて大量生産されたものとは違う味わいがある。
鮭をくわえた、お馴染みの作品。
うっすらと茶色味がかった黒光りした肌合いが美しく、懐かしくもある。
子供の頃、登別温泉街のお土産屋さんの店頭の棚の上に大小様々の鮭をくわえた木彫り熊がぎっしりと並んでいて、そっとその一つの背中を撫でると意外とつるつるで気持ちの良かった事を思い出す。
置物ばかりではなく壁掛けも・・・・
一見粗い彫りに見える作品だが、彫りの変化、生き生きとした表現が造形としての魅力に溢れている。
こちらは繊細な彫り目で仕上げられた熊の親子。構成力が見事。
小熊を優しく包み込む表現は母熊の愛情が伝わって来る。
多くの熊の表情は穏やかで神々しくすら感じる作品も多い。
それは厳しい自然に生きる野生動物に対しての作者の畏敬の念の表れかも知れない。
山里稔さん(左)と会場に来られた同じくbisen1期で日本画家の千葉晃世さん(右)の2ショット
先人の見事な手仕事とその造形力、羆や多くの野生動物を育んで来た北海道の自然の豊かさと尊さを改めて感じる事が出来た展示でした。
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ガンちゃん こと 猪股岩生