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[bisen-OB ガンちゃんのアート探訪]東京巨大建築物探訪

bisen-OB会会員「ガンちゃん」による不定期コラムコーナーです。

画像1
「ガンちゃん」 

猪股岩生 ~ グラフィック専攻の9期卒業生。画家/造形デザイナー。

屋外造形物、建築、景観の造形プランナーをはじめ、ホームページ制作、CI構築代行と幅広く活動。また、北海道の自然をテーマにした風景画を描き続けている。

絵画工房gan-gan 代表。




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東京には、過去から現代を繋ぐ歴史を彩る様々な建築物がある。
今回はそこに注目して、街を探訪してみたいと思う。

国立新美術館で開催されているルーヴル美術館展を鑑賞した。

国立新美術館1
六本木ヒルズにほど近い位置にある国立新美術館は、2007年に開館した曲線とガラスの外壁が印象的な美術館。


国立新美術館2

券売所前には今回の旅行の目的の一つである「ルーヴル美術館展」のポスターが飾られていた。背景に見えるのは六本木ヒルズ森タワー。


パンフ1


パンフ2

展示作品には、フェルメール、レンブラント、ティツィアーノ等の巨匠をはじめとした、主に16世紀から18世紀の時代を代表する画家の作品が数多く展示され、画集でしか見る事が出来なかった名作の技法や時代背景を考察しながらの鑑賞は楽しく時間を忘れた。
特に17世紀のオランダの画家フェルメールの「天文学者」の静謐 感を感じる画面は深く、小品にも関わらず他を圧倒する存在感を感じた。
16世紀の画家クエンティン・マセイスの「両替商とその妻」(パンフ の左ページ右上)は、油彩画の技法を確立させた15世紀の画家ヤン・ ファン・エイクの作品「アルノルフィーニ夫妻像」にも使われている、 画面に描かれた凸面鏡に人物を写し込んでいる精緻な手法を用い、その人物の衣装からもフランドル派の画家である事が分かり、印象的だった。


国立新美術館3

この国立新美術館は黒川紀章が設計し、延床面積では日本最大の美術館。3階まで吹き抜けになっているロビーの空間構成は圧巻。


国立新美術館4

2階と3階にある空中に突き出た形状の円形のレストランは未来的。




森ビル1


六本木ヒルズ 森タワー

国立新美術館から徒歩で6、7分の位置にある54階建の六本木ヒルズの中核高層ビル。基本的にはビジネスオフィ スではあるが、周辺はパブリック空間として整備されていて、休憩が出来る広場やショッピングやレストランエリアもある。左に見えている野外彫刻は、フランス人彫刻家ルイーズ・ブルジョワの巨大蜘蛛「ママン」。
東京は流石に巨大建築物が多く、見上げたり見下ろしたりと空間のスケール感が違う。




浅草1

一転、近代的な東京から30年ぶりに浅草寺(せんそうじ)を訪れる。

地下鉄を降りるとすぐ仲見世通りがあり、大勢の人の波が雷門から奥の本殿まで切れ目無く続く。おなじみの「雷門」と書いてある巨大提灯。


浅草2

仲見世通りを抜け、宝蔵門を臨む。大仏殿を彷彿させる入母屋造の二重門が印象的。左右には金剛力士像が安置されている。 江戸時代に創建されたと思われがちな浅草寺だが、その歴史は平安時代まで遡る事が出来、都内で最古の寺である。


浅草4

宝蔵門からスカイツリーを臨む。浅草から隅田川を挟んで直線距離で約1キロの近さの対岸にスカイツリーがある。 門に吊り下げられている巨大なわらじは魔除けの意味を持つ。

東京では、何百年も隔てた現代と過去が同居した風景があちらこちらで観る事が出来る。




スカイツリー1

スカイツリーの基礎部分の構造。

これだけの大構造物を支えている土台はどうなっているのか興味がわき、撮影する。
札幌のテレビ塔や東京タワーは鉄骨アングルにトラス構造だが、こちらは大小の巨大パイプの複雑なトラス構造になっている。 藻岩山が標高531メートルを考えると、634メートルのスカイツリーは改めて途方も無い技術と労力で出来上がっている事が分かる。


スカイツリー2

展望デッキにて。まだ午前中の早い時間帯なのでそれ程混雑していないが、午後からは身動きが取れない位混み合う。


スカイツリー3

床のガラス越しに約350メートル下を臨む。高過ぎて余り恐怖感を感じない。


スカイツリー4

隅田川を臨む。
晴れてはいるが、遠方は霞んでいてよく見えない。ぐるっと一周すると、大東京を見渡す事が出来る。霞がない日は富士山も臨める。
藻岩山展望台からの景色を思い出す。こちらは真下から遠方まで建物がぎっしりと詰まっていて、東京の広さを実感する。




東京駅1

復元された東京駅丸の内駅舎

全長約335メートルでドームの尖塔部 までの高さは約45メートルと巨大。褐色レンガに白い花崗岩を帯状に 入れたデザインが美しい。1914年に造られ、1945年戦災で大き く破損し、3階部分を撤去し、補修後2階建てとして営業が続けられ、2007年に開始された復元工事は2012年に完了し、67年ぶり忠実に再現された。

巨大地震に耐えられる様に免震ゴムとオイルダンバーを使用した免震構造になっている。(実は建設 当時の東京駅舎も関東大震災に耐えている。)工事費は500億円と巨額だが、駅舎の「空中権」を周辺に移転し、その売却益で費用を捻出したと言う。駅前はまだ工事中で工事のコーンが無くなるのはもう少し後になりそうだ。
駅が開業した大正3年当時、人々はこれ程大きな西洋風建築物を多分観た事がなかった筈で、そのスケール感に圧倒された事は容易に想像出来る。巨大建築物はいつの時代もパワースポットとして、人々を魅了する力があると改めて思う。

東京駅2

近くから観ると細部のディテールも凝っていて美しい。赤レンガと白の組み合わせのデザインは、当時イギリスで流行していたデザインスタイルだと言われる。




歌舞伎座1

東銀座にある歌舞伎座に寄り、一幕見席(一幕のみの観劇で時間も約1 時間程度と短く、料金も安く手頃で、外国人観光客も多い) で観劇する。


歌舞伎座2

一幕見席で観た演目は「郭(くるわ)文章」。四代目中村鴈治郎(坂田 藤十郎の長男)の襲名口上も聞けて楽しめた。 最上段からの観劇は舞台までかなり急な角度でちゃんと観れるのかと幕が開くまで心配だったが、問題なく楽しめた。 舞台セットの早替わりは見事だった。外国人には入場時にガイドブック が渡され、ストーリーも理解出来ている様だった。




東京タワー1

東京タワーにて

東京タワーは私が生まれた翌年1958年(昭和33年)の冬に完成した。 さっぽろテレビ塔は私と同級生で1957年に完成していて、設計者は東京タワーと同じ「塔博士」と呼ばれていた早稲田大学教授の内藤多仲(たちゅう)。


東京タワー2

青空にそびえ立つ東京タワーを見上げる。自立式鉄塔としては333メートルで今でも世界一。重さは4000トンの巨大な建築物。威風堂々としていて均整の取れた緩くカーブした外観が美しい。


東京タワー3

大展望台のガラス張りの床からの眺め(約150メートル)。
こちらの高さの方がスカイツリーよりも恐さを感じる。 地面から伸びた複雑なトラス構造の鉄骨に支えられている事を実感出来る。
この展望スペースは2階構造になっていて、 売店やカフェなどもありかなり広いが高さ約250メートルにある特別 展望台は狭く、塔の先端近くにいる事を実感出来る。 鉄骨部分は奇麗に朱色に塗られ、サビもなく60年近く経っているとは思えない程、メンテナンスが行き届いていて安心感がある。スカイツリーが出来た現代でも東京タワーは東京のシンボルである事には変わりはない。
子供の頃観た怪獣映画に何度も怪獣に破壊された東京タワーのシーンが出て来た事を思い出す。




増上寺1

増上寺の本堂と東京タワー

東京タワーのすぐ近くにある浄土宗の大本山・増上寺は、徳川家の菩提寺として有名。境内には二代秀忠公をはじ めとする6人の将軍の墓所がある。




フジテレビ1

フジテレビ2

お台場のフジテレビ本社ビルにて

設計は丹下健三。地上25階建てで、シンボルの球体展望室「はちまた」の直径は32メートルもある巨大建築物。写真では余り大きさを感じる事が出来ないが、実際に目の前に立つとその大きさが実感出来る。
下の写真の右側部分に見えているのは幅12メートルで長さ100メー トルの大階段。外装はアルミパネル、球体はチタンパネルで出来ていて潮風に強い。
上の写真で建物の手前に見えているのは「ゆりかもめ」 の架線レール。 スカイツリーから俯瞰した東京の景観は巨大な建築物が小さなパーツの様に犇めき、現代文明の一つの象徴に思えた。
大自然の山々が連なる景観も美しいがこの人間が形成した景観も悪くな いと感じる。

「重防食塗装」と呼ばれる非常に耐久性のある塗装で守られているスカイツリーは今後解体されない限り、100年後も存在している可能性が高い。100年後の人々がどんな東京の都市景観を観ているのだろうかと想像するとわくわくする気分になる。

SFの父と呼ばれている19世紀フランスの小説家ジュール・ヴェルヌの言葉とされる有名な「人が想像できることは、必ず人が実現できる」を思い出す。100年後の東京の都市景観を想像 してみたくなった。


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ガンちゃん こと 猪股岩生 
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bisen-OB会ブログは、北海道芸術デザイン専門学校(旧北海道美術学校、旧北海道綜合美術専門学校)の卒業生で構成する「北海道芸術デザイン専門学校校友会(bisen-OB会)」が管理するブログです。
「bisenを卒業しても、つながる場所」をコンセプトとして、展示会情報・校友会行事を通じて、OBの交流を広げることを目的としています。

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