アイビスペイントで手描き風にするには?色鉛筆・水彩を試して分かった違い

アイビスペイントで描いたイラストを、もう少し手描きらしい雰囲気にできないか。そう思って、色鉛筆風と水彩風の表現を試してみました。

使ったのは、以前描いた着物姿の青年と、海・入道雲の風景画です。青年には鉛筆の線や細かなタッチを加え、風景画では雲の色を水彩風になじませています。

試してみると、線を重ねすぎて服の模様が隠れたり、雲をぼかしすぎて形が分かりにくくなったり。質感を足せば、それだけよくなるわけではないんですね。

今回は、色鉛筆風は線の重なり、水彩風は色の境目に注目しながら、ブラシの選び方や調整で迷ったことを振り返ります。

目次

手描き風にするために最初に試したこと

手描き風といっても、鉛筆で描いたような細い線と、水彩絵の具のように柔らかく広がる色では、仕上がりの印象が違います。

最初は、どのブラシを使えば手描きらしく見えるのかが気になりました。アイビスペイントにはブラシが多く、質感の違いを確認しないまま選ぶと迷ってしまいます。

参考にしたのは、アタムのデジタルイラスト講座「【アイビスペイント】手書き風ペン・ブラシを使った手書き風イラストの描き方・塗り方」です。講座で紹介されている鉛筆やソフトパステルなどの考え方を参考にし、今回は自分の絵に合わせて鉛筆系と水彩系のブラシを試しました。

私が確認した表現と使い分けは、次のとおりです。

ブラシの種類今回確認した表現
鉛筆系輪郭の柔らかさと細い線の重なり
ソフトパステル系粒子によるざらつき
水彩系色の重なりと境目のなじみ

すべてを一枚の絵に使うのではなく、青年には鉛筆系、風景画には水彩系を中心に使いました。ソフトパステル系も試しましたが、今回は仕上げには採用していません。

元の絵を残して別のデータで調整したのも、今回の工夫です。手描き風にする前とあとを見比べたかったので、いつでも元の状態に戻れるようにしました。

線を自然に見せる方法として、手ぶれ補正を少し弱めることも試しています。ただ、補正を下げすぎると、今度は思った位置に線を引きにくくなります。

手描きらしい揺れを残すことと、描きにくい状態にすることは別でした。

最初から細かな設定を変え続けるのではなく、青年の羽織の影に同じ長さの線を数本ずつ引き、ブラシごとの濃さとざらつきを比べました。

その結果、線の輪郭がはっきりしすぎるブラシは羽織の模様より目立ち、薄すぎるブラシは縮小すると質感がほとんど見えませんでした。今回は、模様を残したまま細かな線が確認できる濃さを基準に選びました。

色鉛筆風は線の重ね方で印象が変わった

色鉛筆風の表現は、以前Pastelaで描いた着物姿のオリジナル青年を使って試しました。

Pastelaで完成させた画像を書き出し、アイビスペイントで新しいキャンバスに読み込みました。元の画像は残したまま、その上へ新しいレイヤーを追加し、鉛筆系のブラシで線を重ねています。

人物を最初から描き直すのではなく、すでにある線画と色塗りを残しながら、鉛筆らしい質感だけを加える方法です。

青年を描いたときの工夫や難しかったことは、別の記事にもまとめています。

関連記事:Pastelaで着物姿の青年を描いてみた!迷う時間を減らす3つの工夫と難しかったこと

黒い線を焦げ茶に変えてみた

最初に比べたのは、輪郭線の色です。

黒い線は顔や髪の形がはっきり見えますが、鉛筆風の柔らかさを出したくて、焦げ茶の線も試してみました。

すると、黒い線より少し落ち着いた印象になり、髪や肌の色ともなじみやすくなりました。

ただ、線を柔らかく見せようとして濃さまで下げると、今度は輪郭が見えにくくなります。特に顔の周りは、線が薄いと表情までぼんやりしてしまいました。

そこで、輪郭を全部同じ濃さにするのではなく、顔の外側は少しはっきり残し、髪の細かな線は控えめにしています。

鉛筆ブラシなら、短い線を重ねて陰影を付けることもできます。細い線を並べるハッチングという描き方です。

でも、今回は顔全体に加えるのではなく、髪の影など一部分だけにしました。線を増やしすぎると、もとのイラストより細かなタッチが目立ってしまうからです。

線を薄くするだけではなく、残したい輪郭を見ながら濃さを調整する。

これが、最初に気づいたことでした。

羽織の模様が隠れたときの調整

次に試したのが、青年の羽織です。

基本の緑色は残したまま、影や色の境目へ鉛筆ブラシで細い線を重ねました。

参考講座では、広い範囲を先に塗り、あとから鉛筆のタッチを加える方法が紹介されています。私も、最初から細い線だけで塗り直すのではなく、その方法を取り入れました。

線を重ねると、均一に塗った状態より少しざらつきが出て、布の印象も変わります。

ところが、面白くなって線を足しているうちに、羽織の模様が見えにくくなってしまいました。

せっかく描いた模様なのに、手描き風のタッチで隠してしまってはもったいないですよね。

そこで、線を加える場所を影の部分や色の境目に絞り、濃さも控えめにしました。

全体を同じように塗り直すより、部分的にタッチを加えたほうが、羽織の形と模様を残せました。

左は羽織全体へ細い線を重ね、もとの模様が見えにくくなった状態です。
右は線を影と色の境目に絞り、羽織の模様が確認できる程度まで濃さを下げた状態です。
制作・画像:筆者

紙の質感を加える方法もありますが、今回は強く重ねすぎないことを優先しています。画用紙のようなざらつきがあっても、顔や服の形が見えなくなっては困るからです。

色鉛筆風では、どれだけ線を描き足すかより、どこに線を残すかが大切だと思いました。

水彩風は雲の境目をぼかしすぎた

水彩風の表現は、以前アイビスペイントで描いた海と入道雲の風景画で試しました。

こちらは青年のように細い線を増やすのではなく、空や雲、海の色を柔らかくなじませる方向です。同じ手描き風でも、考えることがずいぶん違いました。

以前、海と入道雲を描いたときは、雲の立体感や海の色分けにも苦労しています。そのときの制作過程は、こちらの記事にまとめました。

関連記事:アイビスペイントで風景画に挑戦!海と入道雲を描いて難しかったこと

明るい部分を残して色を重ねる

参考講座では、水彩風に描くとき、明るい場所を残しながら色を重ねる方法が紹介されています。

色鉛筆風では、基本色の上に細かな線を足しました。一方、水彩風では、どこを塗らずに残すかも考える必要があります。

今回は入道雲の白い部分を残し、影になるところへ青みのある色を加えました。

最初から雲全体を濃く塗ってしまうと、あとで明るさを出すために調整が増えます。そこで、光が当たる部分はなるべく明るいまま残すことにしました。

海も同じです。青一色で塗るのではなく、明るいところと少し濃いところを作り、水彩系のブラシで色を重ねています。

ただ、水彩ブラシを使えば自動的に水彩画らしくなるわけではありません。

色の濃さや重ねる範囲によって、柔らかく見えることもあれば、ただ色が薄くなっただけに見えることもあります。このあたりは、何度か試してみないと分かりませんでした。

雲の形が消えない範囲でなじませる

今回、水彩風で一番迷ったのは、入道雲の白い部分と青みのある影の境目です。

もとの風景画では、雲のふくらみを見せるために、白と影の違いをある程度はっきり付けていました。

そこへ水彩風の柔らかさを加えたくて、境目をなじませてみたんです。

最初は、色の切り替わりが柔らかくなり、雲の雰囲気も少し変わりました。

ところが、調子に乗ってぼかしていると、雲と背景の空との境目まで曖昧になってしまいました。柔らかくしたかったのに、雲の形が分かりにくくなってしまったんです。

そこで、なじませる範囲を狭め、雲の外側の輪郭はできるだけ残すようにしました。

白い部分と影の境目は少し柔らかくしても、空との境目まで全部ぼかす必要はありません。

左は雲の内側から空との境目までぼかし、輪郭が分かりにくくなった状態です。
右は白と影の境目だけをなじませ、雲の外側を残した状態です。
制作・画像:筆者

水彩風にしたい場所と、形をはっきり残したい場所を分けることが大切でした。

アイビスペイントには、色を混ぜたり、下に塗った色となじませたりできる水彩系のブラシがあります。

今回のように、すでに色を塗った絵を調整するときは、新しく色を増やすだけでなく、今ある色の境目をどう見せるかも考えたいところです。

色鉛筆風では線を足しすぎて失敗し、水彩風では色をなじませすぎて失敗しました。やっていることは違いますが、どちらも加減が難しかったです。

色鉛筆風と水彩風で違ったこと

青年と風景画をそれぞれ調整してみて、手描き風にもいろいろな方法があると分かりました。

特に違いを感じたのは、質感を加える場所です。

比べたこと色鉛筆風水彩風
主に使った表現細い線やざらつき色の重なりやにじみ
意識した場所輪郭、影、色の境目明るい部分、雲や海の境目
失敗したこと線を重ねすぎて模様が隠れたぼかしすぎて雲の形が曖昧になった
調整したこと線の濃さと重ねる範囲を減らしたなじませる範囲を狭くした

色鉛筆風では、細い線を少し加えるだけでも質感が変わります。ただ、元の絵に模様がある場合は、その模様を隠さないことが大切でした。

水彩風では、色の境目を柔らかくすることで雰囲気が変わります。でも、全部をぼかしてしまうと、見せたかった形まで分かりにくくなります。

今回は、どちらも一度でうまくいったわけではありません。ブラシを替えた直後は、質感が変わるのが面白くて、つい描き足したくなりました。

でも、少し時間を置いて全体を見ると、やりすぎた部分が気になります。

そこで、仕上げる前には次の3つを確認することにしました。

  • 顔や服、雲など、見せたい形が残っているか
  • 線やにじみが、もとの絵より目立ちすぎていないか
  • 調整前と比べて、どこが変わったのか分かるか

特に最後の比較は、元の絵を別データで残していたので確認しやすかったです。

手描き風のブラシを使うこと自体が目的にならないように、仕上がりを見比べながら調整する。そのほうが、私には合っていました。

まとめ

アイビスペイントで手描き風にするには、ブラシの質感を選び、線の重ね方や色のなじませ方を調整することがポイントです。

今回試した方法をまとめると、次のようになります。

  • 鉛筆系ブラシを使う:輪郭の濃さや線の揺れを調整し、柔らかな線にする
  • 色鉛筆風に仕上げる:基本色の上へ細い線を重ね、影や色の境目にざらつきを加える
  • 水彩風に仕上げる:明るい部分を残し、色の境目を必要な範囲だけなじませる
  • 仕上げに比較する:線やにじみを加えすぎて、顔・模様・雲の形が隠れていないか確認する

私の場合、色鉛筆風では羽織の模様、水彩風では雲の輪郭を残すことが難しかったです。

手描きらしさを加えるだけでなく、もとの絵で見せたい部分を残すことも忘れずに、次のイラストでも試していきたいと思います。

参考にした動画:

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